エビデンスに基づく医療の未来：マレーシア留学生の分析

こんにちは。

つい先日、Twitterでドクターエッグスの漫画を読んでいたらEvidence-Based Medicine（EBM）についてのページを偶然見つけました。ふと気になったのが、日本の医学とマレーシアの医学は根本的に同じような考え方なのか？また日本では有名なEBMはマレーシアでも認知されているのかな？などと思ったので今回はその辺のことを記事にしていきたいと思います。

EBMとは、Evidence-Based Medicineの略称で根拠に基づく医学のことで、医学的な意思決定や臨床実践において、最新の科学的証拠を用いて行われるアプローチです。EBMは、医師や医療従事者が患者のケアに関する意思決定を行う際に、最善の証拠に基づいて行うことを目指します。

僕が読んでいた漫画、ドクターエッグスの中では大学の教授が主人公の円千森に次のような質問をします。

「ある高齢男性がワクチンを接種した。しかしの後ウイルスに感染してしまった。この場合ワクチンは効果がないと考えていいの？」

EBMの考えに基づくと、答えはNOです。薬の効果を一人の結果から判断することはできず、適切なサンプル数のもと、分析されるべきと考えられます。

EBMは、以下の3つの根拠から成り立っていると考えることができます。

1. 臨床研究や試験結果: EBMでは、最新の臨床研究や試験結果を重視します。これらの研究は、特定の治療法や診断法の有効性や安全性を評価し、科学的な根拠を提供します。

2. 医療従事者の経験と専門知識: EBMでは、医療従事者の経験や専門知識も重要な要素として考慮されます。これは、臨床現場での経験に基づいた判断や、医療従事者の専門知識を活用した意思決定を意味します。

3. 患者の価値観と優先事項: EBMでは、患者の価値観や優先事項も重視されます。患者の個々の状況やニーズに合わせて、治療やケアの計画が立てられます。

これらの3つの根拠が組み合わさることで、EBMは科学的根拠に基づいた効果的な医療の提供を可能にします。

このように、日本の医学においてEBMは確かに重要な位置を占めていて、多くの医療機関や大学で積極的に導入されています。しかし、マレーシアの医学においても同様にEBMが医学の根源として位置づけられているとは言い切れません。

マレーシアの医学界では、近年EBMの重要性が認識されつつあり、一部の医療機関や教育機関でEBMの原則を取り入れた医療や教育が行われています。しかし、マレーシアの医学の発展や医療システムの特性を考慮すると、日本ほどEBMが医学の根源として確立されているとは言い難い状況です。

マレーシアの医学界では、地域の文化や医療ニーズに合わせたアプローチが求められるため、EBMの導入や実践には課題が存在します。また、医療資源の不足や地域間の医療格差などの問題もあり、EBMの普及や実践にはさまざまな障壁が存在しています。

したがって、マレーシアにおいてもEBMの重要性が認識されつつありますが、日本ほど医学の根源として確立されているとは言いがたいと言えます。

これだけではなく、日本とマレーシアの医療制度にはほかにも相違点がいくつかあります。

１．国民健康保険の有無: 日本には国民健康保険制度があり、国民の医療費の一部を政府が負担しますが、マレーシアにはそのような制度がありません。マレーシアは、国民健康保険制度ではなく、政府が公共施設を通じて医療費を大幅に補助することで、すべての市民および合法的な居住者に普遍的な医療保健を提供しています。この制度は、公共医療制度とよく整備された私立医療制度が連携して機能しています。

２．医療のアクセスと質の差異: 日本の医療制度は高度で質の高い医療を提供する一方、マレーシアの医療制度は資源の制約や地域差により、アクセスや質のばらつきが見られることがあります。ですが、ゆっくりと、確実に、マレーシア政府は医療分野への投資を改善するための措置を講じています。政府の社会部門開発予算の 5% が公的医療に充てられており、これは 50% 近く増加しています。

まとめ

マレーシアの医療制度は、国民健康保険制度ではなく、政府が公共医療施設を通じて医療費を補助することで、全市民と合法的な居住者に普遍的な医療保健を提供しています。公共医療制度と私立医療制度が相互補完的に機能し、低所得者から高所得者までの幅広い層に対応しています。これに加えて、エビデンスに基づいた医療（EBM）の導入や実践も進んでおり、医療サービスの質と効果を向上させる取り組みが行われています。この体系により、マレーシアは包括的な医療サービスを提供し、国民全体の健康を確保しています。